海外デビューはここから

「写真展はたくさんやっている」「写真集も出版した」、そんなハイアマチュアのあなたが次にやるべきこと

海外デビューはここから

「いい写真を撮る」ハイアマチュアとプロの差はない!!

「プロの写真家よりも頻繁に写真展を開催している」「自費だけど写真集も何冊か出版した」「『フォトグラファー』と呼ばれるようになった」、そんなハイアマチュアの方はたくさんいます。

私の周りにも写真教室や写真サークルを経て、個人的に撮影ツアーに参加しながら、SNSに美しい写真をたくさんアップしているアグレッシブなアラフォー、アラフィフ、アラカンの女性たちが多く存在します。

真面目で熱心な彼女たちは撮影術を教えてもらったプロの写真家の技術を着実に習得。そのうえに、男性よりもとても個性的な写真をどんどん撮っています。

もちろん、男性でもそういう方がいらっしゃいますが、何かにつけて積極的で、自分の内面を写真に投影しようと努力するのは女性のほうが圧倒的に多いようです。

例えば、Yさんは主婦ですが、毎月何度も泊まりがけや日帰りのバスツアーに出かけて20年以上。当然、写真の腕もどんどん上がって、SNSには見事な写真がほぼ毎日にアップされています。現在、50代後半の女性です。

最初にお会いしたのは私が記事を書いていた撮影のワークショップでしたが、いまではそのときの講師の先生と同じレベルの風景写真が撮れています。しかも講師の先生にはなかったYさんだけの色調や気配などが漂っていて、アート写真として見たら先生より上かもしれません。

Nさんという女性も主婦で、初めてお会いしたのはプロの写真家が宿泊するホテルの協賛で開催された志賀高原での撮影ツアーでした。

当時はアラフォーで、飼っているトイプードルの写真を可愛く撮りたいからと写真を始められました。

Nさんも色々な撮影ツアーやワークショップに参加して、数年後にはたくさんの生徒を抱えるプロの写真集団に所属してどんどんを腕を上げました。その後、『風景写真』誌(風景写真出版)フォトコンテスト総合グランプリなどを受賞しています。

Nさんと同時期に同じ志賀高原などの撮影ツアーに参加していたSさんは同時通訳をされていますが、同じようにたくさんの撮影ワークショップに参加し、数年後にはプロの女性写真家に師事。

日本で写真展を開催したり、書籍を出版しています。

NさんとSさんも50歳代ですが、70歳を越えてもなおポートレート写真一筋でずっと撮影し続けている魅力的な方もいます。写真歴は40年以上。好きなことをされているせいかイキイキとして若々しいMさんです。

Mさんが学び続け撮り続けているのは女性のポートレート写真。女性が女性を撮るせいか独特の柔らかさが漂っています。

数年前からは猫の赤ちゃん写真も発表し始めて、それも彼女のやさしさが滲んだとてもいい写真ばかりです。

Mさんのように長い写真歴を持ちつつ現在も撮り続けているハイアマチュアの女性たち。40代で写真教室に通って趣味として撮影を始め、腕を上げて写真展を開催するようになり、「写真家」という名刺の肩書きにもふさわしくなった彼女たち。

日本で定期的に写真展を開催し、「写友」とグループ展もたびたび開催する。写真が好きな仲間とお互いの写真展を訪れて刺激をもらったり、お互いの写真集を購入し合う。それはそれでとても楽しい交流だと思うのですが、私はどうしても彼女たちの現状が ” もったいない “と思ってしまうのです。

それだけのテクニックと個性、熱心さがあれば、日本を飛び出せばアーティストになれる。海外のポートフォリオレビューや国際写真フェスティバルに行くようになってから、強くそう感じるようになりました。

国内にはアーティストと呼ばれるプロがほとんどいない

NさんとSさんの話をしましたが、まずNさんのほうは日本の写真雑誌のフォトコンテストでグランプリを獲得した後、プロ宣言をしました。

現在はもともと教わっていた写真集団の講師として活動したり、写真雑誌やWebなどに記事を書いています。師事した先生と同じ道に入れたのですから、それで目標達成なのかもしれません。

Sさんもやはり、プロ宣言をして、ハイアマチュアの時代よりも格上の会場で個展を開催しましたし、撮影地である北欧の国に関する写真エッセイのような書籍を出版されました。でも、本業は相変わらず、同時通訳をされています。

何が言いたいかというと、趣味で写真を始めて腕を上げて、幸運にもプロになったとしてもいまの日本の写真界では「写真教室の先生」か「雑誌に撮影術を書く人」くらいにしかなれないということです。

もちろん、こうしてプロになれず(あえて、ならず)に、ずっと写真展開催を続けているだけの方々はその何100倍もいます。

情熱をもって写真に取り組み続けていて、かなりのスキルがあるのにこれは本当にもったいない話です。

おそらく、ずっと写真を続けた先に日本では「写真教室の先生」か「雑誌に撮影術を書く人」になるという未来しか描けていないからでしょう。

でも、私がサポートしている方の中には、ハイアマチュアからすでにアーティストあるいは作家として認められて、イタリアやアメリカで個展を開催したり、MOPA(サンディエゴにあるアメリカの3大写真美術館の1つ)に作品が永久保存された女性もいます。

そういう方がこの10年間で5名になり、後に続けそうな活躍し始めた70代後半の男性も2名います。彼らは来春のサンフランシスコでのグループ展への参加も認められています。

海外を目指すノウハウを学んで、それを実行すれば確実に、60歳以降でも世界レベルのアーティストになれるという証明だと思います。

そして、国内においてアーティスト(写真作家)を目指す人がほとんどいないのは、日本のプロ写真家にアーティストとして活躍している人がほとんどいないというのが最大の理由でしょう。

バブル時代には広告写真家たちは花形職業で1カット数百万円という今では信じられないギャランティをもらっていました。高収入で外車を乗り回す憧れの職業でもありました。

仕事としての写真が高く評価され、「カメラマン」というだけでステータスもありました。そういう状況ではギャラのいい仕事をこなしてどんどん収入アップを図ることしか考えない。あの時代は「収入=ステータス」という発想しかなかったようです。

乱暴に言ってしまえば「すぐに収入に結びつかないアートなんかに時間を割いていられない。そんなのは売れないカメラマンがやることだ」くらいの風潮でした。

でも、今や雑誌やテレビは媒体力を失い、広告写真の収入だけで食べられているプロはほとんどいません。

逆に、あの時代に日本に見切りをつけて、いち早くニューヨークで活動し始めた杉本博司さんはオークションで作品が億を超えるようなアーティストになっています。

日本では写真を作品として売っても値段がかなり低いです。写真がアートとして評価される土壌もありませんでしたし、写真の価値を高めるためにエディションを設定するというようなノウハウも知られていませんでした。

日本は世界の写真マーケットと無縁の世界で進んでいます。そして、今でも写真を仕事としている人だけがプロという先入観が強いです。でも、そこに影響されていたのでは世界に飛び出すような写真家にはなりにくいです。

だからこそ、本業を持っているハイアマチュアの方のほうがアーティストになるための自由な時間や発想を持っていると私は思っています。

なので、ぜひ、海外デビューへと歩みを進めてみましょう!

 

英語が苦手でも大丈夫。AIが的確に手伝ってくれる

「海外」と聞いただけで尻込みしてしまう方は多いと思います。その最大の理由は「英語」です。

とくにご年齢が上がるほど、「英語は絶対無理」と動く前からシャッターを閉めるように選択肢から外してしまう方は多いことでしょう。

もし、英語がまったくダメでも「だったら通訳を雇えばいいじゃない」というくらい柔らか頭で考えてみてください。

ChatGPTが話題になっていますが、AI(人工知能)もどんどん進化しています。

また、ネット上には以前から無料で英語に翻訳してくれるサイトやアプリも存在しています。Google翻訳、Excite翻訳、weblioなどです。これらの機能も年々飛躍的によくなってきました。

私がよく使っているのはDeeplという翻訳サイトやアプリは「世界一高精度な翻訳ツール」と謳われています。翻訳のレベルが高いですし、無料でも利用できますので試してみてください。

もちろん、ChatGPTでも英訳はできます。

それもかなり高いレベルでやってくれます。ただし、日本語で書いた文章をそのまま入力して翻訳してもらうのではなく、一度、翻訳用の日本文に修正してからそれを英訳してもらうと完璧です。

なぜかというと、ご自分で書かれた日本文をよくよくご覧いただくと「日本語には主語がない文章が多い」からです。それが「私が」なのか「彼ら」なのかがあやふやなんです。

それと同じように「それ」「あれ」と書いた場合にどれを指すかがわかりにくいというようなこともあります。また、日本人だからわかることだからと省かれている言葉などもあったりします。

それらをきちんと表記した日本文にして入力すれば、ChatGPTは素晴らしい英訳をしてくれます。

最近、私がよく使っているのは、前述のGoogle翻訳のアプリです。

スマホにこのアプリを入れているのですが、クリックして開くと、左下に「会話」、右下に「カメラ入力」というのが出てきます。

「会話」をクリックすると「マイク」が出てきて、話した言葉が指定した言語に翻訳されます。

英語がまだできない私の生徒さんも先日、このアプリでコミュケーションを取ることができました。来春にサンフランシスコで一緒にグループ展をやる写真家が来日して急に1対1で会話しなければならなかったからです。

私がよく使うのは右側の「カメラ」です。

カメラをクリックすると、スマホで撮影した文章を翻訳してくれます。翻訳された文章はコピーすることもできて、これを「メモ」アプリに貼り付けておくことができます。

iPhoneとMacならパソコンの「メモ」アプリにも同時に保存されているので、とても便利です。

そう、いまはどんどんツールも便利になっているので、「英語だからダメ」という先入観は捨てて、海外に挑戦していきましょう。

ネットで申し込める海外フォトコンなら英会話不要

「英語と聞いただけで引かないでください」と言いましたが、海外デビューの第1歩としてネットで応募できる海外のフォトコンテストを選んだのは、何を隠そう、その英語が理由です。

ネットで応募できるから、英文で書かなければならないことはありますが、外国人と対面して、英語で質疑応答をしなくていいからです。

自分のプロジェクトをプレゼンしに行く「ポートフォリオレビュー」では、ずっと英語でコミュニケーションをとらなければなりません。

通訳さんを雇ったとしても1セッションは20分と決められていますから、悠長に日本語から英語に訳してもらい、その答えを理解するためにまた、英語から日本語に訳してもらったのでは効率が悪すぎます。

ではここで、ポートフォリオレビューそのものをご存知ない方もいらっしゃると思うので、簡単にご説明しておきます。

ポートフォリオレビューとは

自分のシリーズ作品(「プロジェクトProject」あるいは「ワークスWorks」と呼ばれています)20枚ほどとアーティスト・ステートメントなどを持参して、自分の作品をキュレーターやパブリッシャーにプレゼンする講評会です。

南仏のアルルでは毎年7月、ヒューストンとポートランドでは毎年3〜4月(どちらもビエンナーレなので毎年交替で開催)に、ほかにサンタフェやニューヨークタイムスなど。最近は日本でも開催されるようになりました。

自分が売り込みたい相手を参加するレビュワー(講評してくれるスペシャリスト)・リストの中から選んで会います。

展覧会をしたいなら美術館やギャラリーのキュレーター、国際写真フェスティバルに招待されたいのならそのオーガナイザー、写真集を出版したいならパブリッシャーといった感じで選びます。

事前審査の有無など多少の違いはありますが、レビューの期間はだいたい4日ほど。

その間に10〜15人のレビュワー(reviewer)さんにプレゼンします。

1セッションはそれぞれ20分。会場はホテルの大会議場が多く、時間になったら選んだレビュワーの座っているテーブルに行き、20分で終わったら会場を出されて、会議場のドアは閉められます。

時間になると会議場のドアが開き、プレゼンが終わった人が出て、入れ替わりで次のセッションの人が入っていきます。もちろん、セッション中は締め切りです。

というわけで、初めて行くとかなり緊張する雰囲気であることは間違いないです。

でも、これから紹介するネット応募の海外フォトコンなら、こういうことをしなくていいわけですから、海外初挑戦にはベストチョイスだと思います。

申し込む前に、ChatGPTや翻訳アプリなどで入念に英訳してそれを送るだけ。対面してドギマギするなんてことは皆無です。

一気にハードルが低くなった気がしませんか?

実際、私の生徒たちもじつはここからスタートしました。

そして、いまや海外で個展を開いたり、国際写真フェスティバルに招待されるようになったのですから、あなたがこの最初の一歩を始める価値は十分あると思います!

そうそう、もう一つの利点は、ネットでやり取りするだけなので、写真は画像データで提出します。

最近は写真展ぐらいしか自分の作品をプリントすることがないですから、あまりプリントのスキルが高くない方が多いようです。SNS時代ですからね。

ポートフォリオレビューならレビュワーさんがプリントを手にとってじっくり見るので、かなりプリントのテクニックなどは上げておかないとダメですが、ネット応募の海外フォトコンならそれも必要ありません。

さらにハードルが下がった気がしますよね。

では、さらにさらに安心して、申し込めるネット応募の海外フォトコンについて具体的に説明していきますね。

応募までのAtoZを日本語で学べるフォトコン

インターネットで意外と簡単に申し込める海外のフォトコンテストはいくつかあります。

ただし、そのいくつかをご紹介しても、どれがいいかと悩んでいるうちに「海外デビューします!」という意気込みが消えてしまうといけないので、ずばり、いちばんのオススメだけをご案内しますね。

それは、” lensculture “というサイトです。

開いていただくとわかりますが、最初から「日本語」が用意されています。

それによると(英語からの自動翻訳なのでちょっと意味がおかしいですが……)

「私たちについて」About us

LensCulture は、世界中の現代写真の才能を発見するための最も包括的かつ広範なリソースの 1 つです。私たちは、あらゆるレベルの写真家が創造的かつ専門的に前進するには、評価と露出が不可欠であると信じており、この信念が、素晴らしい写真を共有し、称賛し、報いるという継続的な取り組みを支えています。

15年以上にわたり、当社は 160 か国の 300 万人以上の写真制作者、愛好家、思想家からなる世界的なオンライン視聴者を構築してきました。

また、写真賞、主要都市での展示会、フェスティバルの上映会、そして本。私たちのオンライン マガジン、投稿レビュー、無料でダウンロードできるガイドを通じて、私たちはコミュニティのための写真のインスピレーション、アドバイス、推奨事項の本拠地になることを目指しています。

LensCultureの「学ぶ(Lean)」には無料のガイドが付いていて、さまざまな海外の写真の世界の様相やルールを知ることができます。

オンラインでレビューを受けることも可能なので、自分の作品やアーティスト・ステートメント(作品ととも提出する「何を表現したか」という文章)について意見を聞くことができます。

LensCultureのフォトコンテストの部門は、モノクロ、ファインアート、エクスペリメンタル、フィクション、ドキュメンタリー、ビジュアルストーリーテリング、ポートレート、風景、ステージド/コンストラクテド、ストリート、 ミックスメディア、アルタナティブプロセス、コンセプチャルなどたくさんのカテゴリーがあります。

また、応募枚数1点、5点以上、10点までという枚数の違いでの応募もあります。そして、最初の1点だけは無料で応募することができます。

さまざまなカテゴリーが少しずつ時期をずらして募集されているので、つねにコンテストが行われている感じがします。

入賞作品はニューヨークで開催するThe Photography Showで展示されます。

サイトには15年間の受賞作品や、彼らのその後のサクセスストーリーも掲載されていますし、世界的に活躍している写真作家たちのインタビューを読むことができます。

見ているだけで、世界にはこんなに色々な写真があるんだと刺激を受けると思います。

でも、とにかく1枚、出展してみること。

そこから、海外デビューの第1歩を踏み出してみてください。

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